主に建売に多いのですが、住宅ローンの融資を受けるうえで、引っ越しはおろか、引き渡しも受けていない新居の住所に住民票を移す必要があるんです。
初めての住宅購入者にとっては、「引っ越し前の家に住所を移すなんて意味不明だよ」って思うのも無理はありません。
当然役所でも引っ越ししていないのに、住所移転を行うことができません。
しかし、住宅ローンの融資条件として「居住用不動産」に対して融資するというものがあり、「居住用不動産」を証明するために住民票を移す必要があるんですね。
この一見矛盾したシステムは、いまだ改善されることはありません。
ただ残念ながら、住宅購入では引っ越し前に住所移転が必要になりますので、今回は引っ越し前に住民票を移す際のベストタイミングと異動時の注意点を徹底解説させていただきます。
Contents
新築購入の住所変更のタイミングは引き渡し2週間前後に行う銀行との契約当日が良い2つの理由。
引っ越し前の住所変更をいつまでに行えばいいのかというと、銀行とのローン契約である金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)時までに行う必要があります。
一番住所移転のタイミングのベストは、引き渡しから2週間前に行われる銀行とのローン契約の当日に住所移転すること!
これがベストタイミングです。
ローン契約の際に新住所で契約することで、不動産引き渡し後に法務局で、銀行の担保権である抵当権を新住所で登記することができます。
抵当権を新住所で登記しますから、当然不動産の所有権を表す所有権の登記は新住所で登記できる仕組み
(よくわからなかったら、そういうもんって思ってもらえればOK)
引き渡しから2週間前に行われる銀行とのローン契約の当日が良い理由は以下の2つです。
ココに注意
購入する物件が別の市・区だった場合は、転出届が必要になりますので、銀行の住所変更を行うためには前日までに転出届を取得しなければなりません。
転出届は引っ越し予定の2週間前に取得することができます。
実際に住んでいない住所と現在住んでいる場所のタイムラグが一番短い
新住所に移すと役所から届く書類が現住所ではなく、新住所に届くようになります。
すると、郵便物が現在住んでいる家に届かなくなるので、定期的に新居に郵便物が届いているかを確認しなければならない手間が発生し面倒です。
この期間が長すぎると、ストレスに感じるだけではありません。
本当に必要な書類(医療費控除など)が手元に届く時間がかかり、必要な手続きが遅れてしまうなどの不都合を起こしますから、住所変更と引っ越しまでの時間ができるだけ短くなるように設定するのが吉。
都市銀行であれば、ローン契約を引き渡しから1週間前に行えば間に合いますから、くれぐれも引渡しの1ヵ月前に住所変更をするのはやめておきましょう。
大体2週間前に変更がベスト。
減税措置に使う住宅家屋証明書に新住民を利用する為、ローン契約時と同時期に行う立ち合い時の際、売主に書類が渡せる。
住所変更した住民票は銀行だけで使うわけではありません。
所有権の登記費用の減税措置を利用する為に使用する書類を取得するために新住所が必要になります。(登録免許税が1/7になる)
この手続きは土地家屋調査士に依頼するのですが、売主指定の土地家屋調査士になりますので、新住民票を売主に渡す必要があります。
仲介会社経由で渡してもいいのですが、一番楽なのは、物件の傷汚れのチェック時の立会い時に売主・買主・仲介と3者で行いますから、直接渡されたほうが売主の立場として楽でした。
建物の傷・汚れのチェックと、銀行との契約を同日に行うケースが多いので、同日に住民票を取得し、立会い時に住民票を売主に渡すというのが美しい流れですね。
住民票を新住所に異動する際の3つの注意点
異動日(引っ越し日)が届け出日の過去になるように申請すること
出典:戸建て購入の教科書
前に私が板橋区の住所異動表で作成した画像を引用しました。
役所で住所変更を行う際に、「住宅ローンの為に引っ越し前ですが住所変更させてください!」っていうのは通用しません。
必ず住民票異動届で、異動年月日(引っ越し日)を届け出した日の過去で記載するようにしてください。
嘘をつくのが下手なんだよな・・・嘘つくなんてなんか嫌って思う方もいるでしょう。
ですが、そうしないと住民票が移動できませんで、新居に引っ越したばかりの幸せオーラを振りかざして住所変更をしてください。
嘘は方便ですよ。演技力が試されます。
購入先が子供の入学希望外の学区だった場合は、住所変更時に学区が変わる可能性がある。
住民票を異動させる上で注意すべき点、住所変更による子供の学区が変わってしまうことです。
子供が小さかったり、越境が認められているエリアですでに学校に通っている人であれば問題ないですが、これから小学校・中学校に入学する子供がおり、どうしても行かせたい学校があるとすれば、安直な住所変更は危険です。
子供の学区などの相談は教育委員会で相談することができますが、どうしても難しい場合は、子供だけの住所を現住所のままにして、親だけ新住所に移すという方法があります。
子供が入学したら、住所を家族と一緒にすればいいのです。
これは1度だけやったことがあります。
引き渡ししたその後もクレームも来ていないので問題ないかと。
住所変更を行ったら、同時に銀行のローン契約時に利用する印鑑証明書・住民票を取得する。
住所変更を行ったら、終わりではありません。
金消契約時に利用する印鑑証明書2通以上(銀行・司法書士分)と新住民票3通(売主・司法書士分・銀行)を取得しなければなりません。
せっかく貴重な時間を使って役所で住所変更手続きを終えたのですから、そのついでに印鑑証明書と新住民票を取得しちゃいましょう。
これで住宅購入の業務で二度と役所に行く必要がなくなります!
住民票を引っ越し前に移す3つのメリット
住宅家屋証明書が取得できることで、登記費用が安くなる。
ここまでは住所変更を行い住宅ローンを借り入れする事を前提に話をしましたが、実は最近の銀行では会社の都合などにより引っ越し前に住所が移せない方もいるので、旧住所(今の家)でローン契約することも実はできます。(基本デメリットしかないが・・・)
ただし、旧住所で登記すると、住宅家屋証明書を取得することができません。
住宅家屋証明書が取れないというは、所有権移転時の減税措置(登録免許税の約1/7)が使えませんから、登記費用がかなり高くなります。
不動産会社で提示している登記費用の見積は、減税措置を利用している前提で算出しておりますから、当初に伝えられた諸経費よりも数万円は高くなるでしょう。
新築購入時の諸経費については下記記事で解説しております。
→建売の初期費用はいくら?諸経費を100万円以下にする条件を元プロが解説
住所変更を行えば登記する手続きが1回になる。旧住所で登記すると2度手間になる余計な費用が掛かる。
旧住所でローン契約を行うと、旧住所で登記を行う必要がありますが、引っ越し後の新しい住所で再度登記する際に登記費用が変更登記に1万円ほどかかります。
(司法書士の報酬として)
不動産登記法では旧住所のままの登記でも、罰則などはありません。
引っ越し後に住所を変えてそのままでもokです。
しかし、売却時に登記の住所が異なると居住用不動産の売却としての減税措置が受けられなくなってしまいますから、旧住所を現在住んでいる住所に登記しなおさないといけない手間が発生します。
ローン契約時に住所移転をしておけば、売却時に変更登記を行う手間も省ける上、費用も掛からないので新住所で登記する事を不動産屋はお勧めしているわけです。
決して騙そうとしているわけじゃないですよ。
住所移転を忘れることによる罰金がない。
引っ越し後の14日以内に、新居に移転を行わないと罰金があるってご存知でしたか?
これは市の条例でなく、総務省で定めた法律によるものです。引用します。
お住まいの市区町村で、行政サービスを確実に受けられるようにするため、入学・就職・転勤等に伴う引越し等により住所を移した方は、速やかに住民票の住所変更の届出を行って下さい。
(法律上の義務です。正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。)出典:総務省
2週間以内って・・・引っ越しで忙しいのに、また役所に行って住所移転をする暇なんてないよ!って思うかもしれませんが、法律上で決まっているので仕方ありません。
忙しい時期にイチイチ役所に行かないためにも、不自然に思うかもしれませんが引っ越し前に住所移転したほうが良いわけです。
冗談抜きで、引っ越し前の住所移転を強くお勧めします。
まとめ
この記事で伝えたいこと!
☑引っ越し前に住所移転を行うベストなタイミングは、引き渡し2週間前後に行う銀行とのローン契約の当日。
☑住所移転してから引っ越しまでの期間が長いと、役所から届く書類に漏れが出やすいので、引き渡しと住所移転の間を空けないのがポイント
☑役所で住所移転時に、異動日(引っ越し日)が届け出日の過去になるように申請すること!正直に話すと、住所移転ができなくなるので要注意。
最後までご覧いただきありがとうございます。こちらも是非オススメです。