注文住宅を建てたいけど土地が高すぎて、予算に会う土地が見つからないって思っている方は結構多いのでは無いのでしょうか?
土地の予算も妥協できず悩んでいる方に対する一つの選択して、市街化調整区域の土地を購入すると言う方法を提案します。
市街化調整区域を簡単に言うと、建物が殆ど無い自然豊かな田園風景と思って貰えれば結構です。
市街化調整区域の最大のメリットは、今販売されている多くの土地は市街化区域の物件に比べて土地価格が1/3程度で購入ができると言うこと。
今まで高い土地物件を見てきた人にとっては、驚くほど安い!って思う事でしょう。
しかも、周りに建物が殆ど無い為、日当たり良好の物件・閑静な場所と言うことで、自然に囲まれて子育てしたいという方に取っては最適な場所だと言えます。
世の中には市街化調整区域を選ぶ方もいるぐらいなんですよ。
ですが、市街化調整区域の最大の特徴としては、農作物を育てるためのエリアと言う事です。
そのため許可を得ない限り
建物を建てられない
という条件があります。
ハウスメーカーや不動産屋に頼らず、自分で土地を購入する際に値段だけで土地を選んでしまうと・・・
建物の建てられない不良債権の土地を購入してしまう恐れがあります。
注文住宅の土地探しをハウスメーカーに依頼するデメリットを元不動産屋が解説
そこで今回は、自分で市街化調整区域を検討する際の注意点と、調べ方について元建売屋の私が解説させて頂きます。
ココに注意
市街化調整区域については、各自治体の都市計画法について条件が多少異なります。
本記事では、さいたま市の都市計画法にて解説させて頂きたい思います。
知らない間に土地が不良債権?市街化調整区域に注文住宅を建てる3つの注意点
市街化調整区域に注文住宅を建てる際の3つのポイント
☑前面道路に排水設備等があるか?(ライフラインが通っているか)
☑現状更地でも登記が田・畑なら農地法が必要になる。
☑43条許可の取得条件の有無。時間を調査する事。(そもそも43条の許可を取得しないと建てられない。)
1つずつ解説させて頂きます。
1:前面道路に排水設備等があるか?(ライフラインが通っているか)
購入する物件の前面道路に水道管・下水道管(浄化槽)があるかどうかが一番重要です。まず最初に排水設備があることを確認しましょう。
なぜなら、市街化調整区域に建物を建築する際の許可である43条許可を得るために絶対条件である排水設備の要件を満たせないからです。
以下引用します。※赤字だけ読めばOK
市街化調整区域では、開発行為を伴わない建築行為 (建築物の新築・改築・用途変更)等 も規制の対象となっており、建築が認められる建築物も限られています。
建築行為等を行う場合は、開発行為の技術基準である法第33条第1項第3号及び第7号に対応する施行令第36条第1項第1号に規定されている排水施設の基準と軟弱地盤の対策等の基準及び同条同項第2号に適合するほかに、開発行為の立地基準である法第34条に対応する施行令第36条第1項第3号のいずれかに該当しなければ、法第43条に基づく建築許可を受けることができません。
出典:さいたま市
簡単に言うと生活水などの垂れ流しだNGで、浄化槽で生活水を処理するか、下水道で生活水を流すかのどちらかを選択しなければ、市街化調整区域で建物を建てることが出来ません。
もし、水道水・下水道(浄化槽)が前面道路に埋設されていない土地だった場合は、近くの下水道管・水道管まで埋設管を繋げる工事を行わなければならなくなります。
市街化調整区域は市街化区域と違って、市などの補助金が出ないため、ライフラインの接続費のすべてが自己負担になってしまいますので要注意です。
正直、ライフラインが無ければ即OUT案件です。
新築の水道引き込み工事はいくら?費用を節約する為の3つの方法
2:現状更地でも登記が田・畑なら農地法が必要になる。
現状農地で利用されているor登記簿上、畑・田んぼだった場合は要注意。
市街化調整区域は農地として利用するエリアです。
農地から宅地にして家を建てると、農作物が減ってしまう=日本の生産量が減ると言う事で、農地を宅地に転用する場合農地法の許可が必要になります。(5条許可)
市街化調整区域の農地法の許可は、市街化区域と比べて届出だけでは済みませんので要注意です。
下記記事で、実務で私が農地法で失敗したときの内容がご紹介しております。
個人が農地購入で宅地転用は可能?農地売買で失敗した私が具体的に解説
3:43条許可の取得条件の有無。時間を調査する事。(そもそも43条の許可を取得しないと建てられない。)
購入する市街化調整区域が43条の許可を取得できなければ、注文住宅を建てられず話になりません。
そのため、43条の許可を取るための条件を具体的に確認する必要があります。
その条件はこちら
43条許可を確認するポイント
☑43条の許可が出るまでの時間。(引き渡し日に関わる)
☑建ぺい率・建物の制限を調べる(間取りプランに関わる)
☑最低敷地面積等を確認する(購入する土地の敷地面積が該当するか?)
この3つは最低限確認しましょう。
それ以外にもその自治体で必要な手続きがあるって分かった場合は、臨機応変に細かく掘り下げてみましょう。
担当者の名前をメモるのを忘れずに。
自分で調査は可能?市街化調整区域に注文住宅を建てる際の3つの注意点の調べ方
調査する内容は難しい内容ばかりですが、自分で調査する場所は意外と簡単です。
市街化調整区域に注文住宅を建てる際の3つの注意点の調べ方
☑ライフラインの接続の有無⇒水道局・現地で確認できる
☑農地法が必要か⇒法務局で登記簿謄本を取れば分かる。現地を見るのがベスト
☑43条の条件⇒役所の建築安全課で細かく聞く。
これだけです。1つずつ解説します。
水道局・下水道局で前面道路にライフラインが通っているか確認(通っていない物件は基本OUT)
まず速攻で調べるのが、水道局・下水道局で対象の市街化調整区域の前面道路にライフラインが接続されているかのチェックから始めます。
ライフラインの接続がされていない場合は、排水設備の条件が満たせませんので速攻でOUT案件です。
さいたま市の場合は、水道局と建築安全課が同じ階にありますので、サクッと水道局の調査員に聞いてみればOKです。
図面代で200円程度掛かりますが、図面を取得しておきましょう。
最も簡単な方法は、購入予定地の隣も家だったら、前面道路に水道管などのライフラインが整備されていることが判断できます。
だって、ライフラインが整備されていない場所では隣の家の人も住めないでしょう?
住んでいるって事はライフラインが整備されている=建築が出来る条件を満たしているって事です。
法務局で土地の登記簿本を取得すれば分かる。(田・畑なら役所にある農業委員会でヒアリングする)
法務局で購入予定の土地の全部事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、その土地が宅地なのか、田・畑・雑種地なのかが一発で分かります。
宅地であれば基本問題はありません。
登記簿謄本にて田・畑だった場合は、農地法の許可が必要になりますので、役所の農業委員会にてヒアリング調査を行う必要があります。
建築安全課などの役所で、43条の許可を貰える条件を聞く(名前を控えてハウスメーカーにバトンタッチ)
市街化調整区域で注文住宅を建てる為には、都市計画法の43条許可を取得できるかを確認しなければいけません。
ここを無視して売買契約を結ぶと、購入した土地に家が建てられず不良債権になってしまいます。
役所によって43条の許可条件が大きく変わってきます。
例えばさいたま市の場合は、下記の内容を満たす必要があります。以下引用。
市街化調整区域の土地を長期所有する者の自己用住宅
☑ おおむね50以上の建築物のそれぞれの敷地が原則50メートル以内の間隔で連続して存する地域内にあること。
☑申請地を中心に半径500メートルの圏内におおむね100以上の建築物のそれぞれの敷地が存する地域内にあること。
☑建築物の敷地面積は、150平方メートル以上、300平方メートル未満であること。
☑用途は、自己の居住の用に供する専用住宅とする。
☑規模は、高さ10メートル以下で、かつ、建築基準法に適合するものであること。
出典:さいたま市開発審査会基準
これら以外にも、建物を建てる際の建ぺい率・容積率も制限があるので注意が必要です。
ここまで市街化調整区域について調査が出来ましたら、後はハウスメーカーの設計がこの条件を満たす建物を建てられるかっていうところがポイントになってきます。
教えてくれた役所の担当者の名前を聞いて、ハウスメーカーの設計者と直接話をして貰えるように調整すればOKです。
もはやプロ級です(笑)
市街化調整区域の土地を購入する前にハウスメーカーの担当営業マンに相談した方が良いでしょう。
まとめ
この記事で伝えたいこと!
☑主に農業を行う市街化調整区域に建物を建てるのには43条の許可が必要になるが、通常の市街地の土地価格に比べて1/3で購入できるのが魅力的。
☑市街化調整区域に注文住宅を建てる際の注意点は「排水設備の有無」「地目が宅地か?」「43条の許可期間・条件」の3つ
☑市街化調整区域の土地を自分で調査する事は可能。役所の担当者の名前を控えてハウスメーカーにバトンタッチするのがベスト。
建物のグレードを下げたくないけど、土地が高くて家が建てられないって人は市街化調整区域を検討してみてはいかがでしょうか?
ご参考になれば嬉しいです。
Copyright secured by Digiprove © 2018 大輝 秋月